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セリー音楽

Posted by Arsène

「セリー音楽」について、用語の意味などを解説

セリー音楽

musoque serielle(仏)

セリー音楽とは、セリーを基に構成した音楽。セリーは十二音技法で音高に適応された後、さらに音高以外の属性(音価・強度・音色など)にも適用された。セリーが全面制御する音楽は(セリー・アンテルグラル)と呼ばれる。

セリー音楽の構造的・音響学的定義と数理的配置における物理的特質

セリー音楽(シリアル・ミュージック)とは、音高だけでなく、音価(長さ)、強弱、アタック(発音法)などの各種音楽要素を一定の数理的規則に基づいた「音列(セリー)」として組織化し、それらの反復や変形によって構成される現代音楽の総称である。物理音響学的な最大の特徴は、伝統的な調性重力や中心音の概念を完全に排除し、音響エネルギーを時間軸上に均等かつ厳密に分散・配置する点にある。特定の周波数成分が優位に立つことを防ぎ、すべての音が等価な価値を持つ均質な音響空間を構築する特性を備えている。

12音技法からトータル・セリエリスムにいたる歴史的ドラマツルギー

音楽史および楽理において、セリー音楽はアルノルト・シェーンベルクが創始した「12音技法」を起点とする。これが第2次世界大戦後、ピエール・ブーレーズやカールハインツ・シュトックハウゼンらによって、音のあらゆるパラメータを統治する「トータル・セリエリスム(総音列主義)」へと拡張された。伝統的な抒情性や物語解釈(ドラマツルギー)を解体し、作曲家の主観を排した純粋な構造美と、点描主義的な音響テクスチュアを現出させるパラダイムシフトとして西洋芸術音楽の歴史に君臨した。

演奏実践における極限の認知的マッピングと身体的制御

アコースティック楽器や声楽の演奏実践において、セリー音楽は奏者の身体と認知に対して極限の負荷を要求する。
音の高さ、長さ、強さが音符ごとに目まぐるしく変化するため、従来の調性音楽で培われた指の慣習的パターンや身体的記憶が一切通用しない。奏者はミリ秒単位の時間軸上で楽譜を厳密に解読する認知的マッピングを行い、瞬発的な打鍵ベロシティの変更や呼気圧の微細制御を同調させる高度な身体的インテグレーションが不可欠となる。

アンサンブルにおける周波数管理と非指向性音響空間の合成

室内楽や管弦楽においてセリー音楽を演奏する際、複雑に交錯する音響粒子が特定の帯域で過剰に累積し、他声部を消し去る周波数マスキングを回避するための、厳密なダイナミクス管理が求められる。解決をもたない不協和の持続や音色の断片がホールの自然な残響空間と静寂の境界線上に精密に定位する。過剰な音圧に依存することなく、方向性をあえて排した洗練されたアコースティックな三次元音響空間を合成する上で、セリー音楽の論理的統御は決定的な役割を果たしている。

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