ピッツィカート
「ピッツィカート」について、用語の意味などを解説

pizzicato(伊)
ピッツィカートとは、バイオリンなどの擦弦楽器で弓を使わずに指で弦をはじく奏法(記号はpizz.)。再び弓で奏する時はアルコ(arco)と記される。つままれた、はじかれたといった意味がある。ピチカート。
ピッツィカートの定義と基本的な奏法
ピッツィカート(pizzicato)は、ヴァイオリンやチェロなどの擦弦楽器において、弓で弦を擦る代わりに指で直接弾いて音を出す技法である。楽譜上では「pizz.」と略記され、通常の弓奏に戻る際は「arco(アルコ)」と指示される。指で弾くことによって生み出される音は、持続音がなく音の立ち上がりが鋭い。そして急速に減衰する特有の歯切れの良さを持つ。主に右手の人差し指が用いられるが、楽曲のテンポやフレーズによっては複数本の指が使われるほか、楽器を構えた左手で弦を弾く左手ピッツィカートという高度な技法も存在する。
クラシック音楽における歴史的展開と表現効果
クラシック音楽の歴史において、ピッツィカートはオーケストラや室内楽の響きに多様な色彩を与えるための重要な表現手法として洗練されてきた。バロック時代から効果的に導入され、古典派やロマン派の時代には、弦楽セクション全体でピッツィカートを用いることで、ハープや大型の撥弦楽器を思わせる独特の音響空間を作り出した。代表的な例として、チャイコフスキーの交響曲第4番第3楽章では、弦楽器セクションが終始ピッツィカートのみで演奏し、軽快で幻想的な世界観を構築している。また、20世紀に入ると、ベラ・バルトークによって弦を垂直に引き上げて指板に激しく叩きつける「バルトーク・ピッツィカート(スラップ・ピッツィカート)」が考案され、打楽器的な新しい音響表現へと拡張された。
現代音楽や他ジャンルにおける拡張と応用
現代のポピュラー音楽やジャズの領域においても、ピッツィカートの本質的な魅力は形を変えて深く息づいている。特にジャズにおけるコントラバス(ウッドベース)の演奏では、弓を使わず指で弦を弾くピッツィカートが標準的なスタイルとなっており、躍動感のあるウォーキングベースを形成する基礎を担う。ポップスのストリングスアレンジやDTM(デスクトップミュージック)による楽曲制作では、ピッツィカート特有の粒立ちの良い音が、楽曲に軽快なニュアンスや心地よいアクセント、あるいは独特の緊張感を与えるためのテクスチュアとして多用される。電子楽器やサンプラーの音色プリセットにも必ず組み込まれており、現代の音楽制作において楽曲の躍動感や立体感を演出するために重要な存在となっている。
「ピッツィカートとは」音楽用語としての「ピッツィカート」の意味などを解説
Published:2026/04/25 updated:
