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メドレー

Posted by Arsène

「メドレー」について、用語の意味などを解説

メドレー

medley(英)

メドレーとは、よく知られた旋律をつなぎ合せて1曲にまとめたもの。「接続曲」「ポプリ」とも。

連続する断片の美学:定義と語源

メドレー(Medley)とは、既存の複数の楽曲や旋律の断片を、途切れることなく連続して演奏し、一つの大きな楽曲として再構成する音楽形式を指す。語源は中英語の「medlee(混合物、戦闘、乱闘)」に由来し、異なる要素が入り混じった状態を意味する。類義語として、フランス語由来の「ポプリ(Potpourri)」や「接続曲」があるが、現代のポピュラー音楽においては「メドレー」という呼称が圧倒的に一般的である。

メドレーの最大の特徴は、個々の曲が持つ「文脈(コンテキスト)」を一度解体し、新たな文脈の中で再接続することにある。例えば、悲しいバラードのサビの後に、陽気なアップテンポの曲のイントロを繋げることで、単独で聴く時とは全く異なる感情の起伏(ドラマ)を生み出すことができる。つまり、メドレーとは単なる「曲の詰め合わせ」ではなく、DJのミックスプレイにも似た「編集の芸術」なのである。

構造的アプローチ:接続の技術

メドレーを成功させる鍵は、曲と曲の継ぎ目(トランジション)の処理にある。単にフェードアウトとフェードインを重ねるだけでは、音楽的な緊張感が途切れてしまう。優れた編曲家は、以下のような高度なテクニックを駆使して、シームレスな移行を実現する。

調性の操作(Modulation)
接続する2曲のキー(調)が異なる場合、その間を滑らかに繋ぐための転調コード進行(ピボット・コードなど)を挿入する。あるいは、あえて転調せず、劇的な転換効果を狙う場合もある。

テンポとリズムの統一
異なるテンポの曲を同じBPM(拍数)に乗せ換えることで、グルーヴを維持したまま次々と曲を展開させる。これはダンス・ミュージックやマーチング・バンドのメドレーで多用される手法である。

モチーフの引用
前の曲の伴奏部分で次の曲のメロディを予告したり、複数の曲のメロディを同時進行(対位法的処理)させたりすることで、有機的な結合感を演出する。

歴史的変遷:オペラからメガミックスへ

メドレーの歴史は古い。18世紀のヨーロッパでは、人気のあるオペラのアリアを繋ぎ合わせた「ポプリ」が、家庭用のピアノ曲や管弦楽曲として楽しまれていた。これは現代で言うところの「ヒットソング・メドレー」の走りであり、著作権概念が希薄だった時代の、大衆的な消費形態であった。

20世紀に入り、レコード産業が発達すると、メドレーは「メガミックス(Megamix)」へと進化する。1980年代の「Stars on 45」プロジェクトは、ビートルズなどのヒット曲を同一のディスコビートに乗せて繋ぎ合わせ、世界的な大ヒットを記録した。これにより、メドレーは単なるライブの余興ではなく、それ自体が独立した商業作品として成立することが証明された。

ライブ・パフォーマンスにおける機能

コンサートにおいて、メドレーは非常に戦略的な役割を果たす。
第一に、「時間の圧縮」である。キャリアの長いアーティストにとって、限られた時間内で数多くのヒット曲を披露するための唯一の解決策がメドレーである。フルコーラスではなく1番(ワンコーラス)だけを繋ぐことで、観客の「あの曲も聴きたい」という欲望を効率的に満たすことができる。
第二に、「物語の構築」である。特定のテーマ(例えば「失恋ソング特集」や「デビュー当時の曲」など)に基づいて選曲されたメドレーは、アーティストの歴史や世界観を凝縮して伝える強力なストーリーテリングの手段となる。

現代における二次創作とマッシュアップ

インターネット時代において、メドレーは「ニコニコ動画」や「YouTube」における二次創作文化(「組曲」シリーズなど)として爆発的な進化を遂げた。ここでは、無関係なアニメソングやゲーム音楽が、ユーザーの共通認識(ネタ)に基づいて繋ぎ合わされ、巨大なモザイク画のような作品が生み出されている。

また、2つの異なる曲を重ね合わせて新しい曲を作る「マッシュアップ(Mashup)」も、広義のメドレーの一種と言える。メドレーとは、既存のコンテンツを再編集し、新たな意味を付与するという、現代のデジタル文化における「リミックス(再創造)」の精神を最も体現した音楽形式である。

Category : 音楽用語 め
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