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リフレイン

Posted by Arsène

「リフレイン」について、用語の意味などを解説

リフレイン

refrain(英・仏)

リフレインとは、有節形式の詩で、各節の最後に繰り返される、同一の詩行。通常、同一の音楽が与えられる。ルフラン反復句

端的には、特定のフレーズや旋律などを繰り返すこと。

バース

「サビ」ではない?:RefrainとChorusの微妙な距離

日本において「リフレイン」は、しばしば楽曲の最も盛り上がる部分である「サビ(Chorus)」と同義で使われることが多いが、厳密な音楽理論(特にアングロサクソン系のポピュラー音楽理論)においては、両者は区別される傾向にある。

「Chorus(コーラス)」が、ヴァース(Aメロ)やブリッジ(Bメロ)から独立した一つの大きなセクション(楽曲の顔となるブロック)を指すのに対し、「Refrain(リフレイン)」は、ヴァースの末尾などに現れる「特定のフレーズ(1〜2行)の反復」を指す歴史的な用法が根底にある。例えば、ボブ・ディランの『風に吹かれて』における “The answer is blowin’ in the wind” というフレーズは、各ヴァースの最後に必ず現れる「リフレイン」である。ここでは、盛り上がる独立したセクションがあるわけではなく、物語の結びとして同じ言葉が帰ってくる構造を持つ。つまり、コーラスが「場所(セクション)」であるのに対し、リフレインは「機能(反復する要素)」に近い概念と言える。

意味の再定義:文脈が変われば「言葉」も変わる

リフレインの最大の美的効果は、同じ言葉や旋律を繰り返しつつも、その意味を変化させる「再文脈化(Recontextualization)」にある。

1番の歌詞で歌われる「さようなら」が単なる別れの挨拶であったとしても、2番、3番と物語が進み、主人公の心情や状況が変化した後で歌われる同じ「さようなら」のリフレインは、悲嘆、諦念、あるいは新たな旅立ちへの決意など、全く異なる感情的色彩を帯びて響く。聴き手は、同じフレーズを耳にすることで、楽曲の時間経過と物語の深化を無意識に計測しているのである。優れた作詞家は、このリフレインの効果を計算し、最後の繰り返しで最大のカタルシスが得られるように物語を構築する。

AABA形式における「フック」としての役割

20世紀前半のティン・パン・アレーやジャズ・スタンダードで主流であった「AABA形式(32小節形式)」において、リフレインの概念はさらに興味深い。この形式では、最初のAセクション自体が主題(フック)を含んでおり、楽曲全体のタイトルやメインテーマを提示する。

ここでは、Bセクション(ブリッジ)が一時的な展開や緊張をもたらした後、再びAセクション(リフレイン)に戻ることで、聴き手に強烈な安心感と解決感を与える。フランク・シナトラが歌うようなスタンダード・ナンバーにおいて、最後に帰ってくるAメロは、単なる繰り返しではなく、旅を終えて帰宅した時のような「ホーム」としての機能を果たしている。この「離脱(B)と回帰(A)」のダイナミクスこそが、ポピュラー音楽が持つ快感原則の基礎となっている。

「イヤーワーム」の正体:脳に刻まれる反復

リフレインは、認知心理学的な観点からも強力な装置である。脳は情報を処理する際、パターン認識を好むため、反復されるフレーズ(リフレイン)は即座に記憶に定着しやすい。これがいわゆる「イヤーワーム(耳から離れない音楽)」の正体である。

現代のヒットチャートを席巻する楽曲の多くは、このリフレインの頻度を極端に高め、イントロからサビ(リフレイン)を配置したり、楽曲全体を短いリフレインのループで構成したりすることで、聴き手の脳内シェアを奪う戦略をとっている。しかし、過度なリフレインは「飽き」を招く諸刃の剣でもあるため、プロデューサーたちは音色やリズムアレンジを微妙に変化させることで、反復の快感を維持しつつ単調さを回避する工夫(「マニエリスム的変奏」)を凝らしている。

集団記憶としてのアンセム化

最後に、リフレインは個人を超えた「集団的な記憶」を形成する機能を持つ。スタジアムで歌われるクイーンの『ウィ・ウィル・ロック・ユー』の足踏みとコーラスや、教会の賛美歌におけるアーメンの唱和のように、リフレイン部分は誰もが参加できる「共有地(コモンズ)」となる。

複雑なヴァース部分はソリスト(個人の物語)のものだが、単純明快なリフレイン部分は聴衆全員(共同体の物語)のものとなる。この瞬間、音楽は鑑賞される対象から、共有される体験へと変貌する。リフレインとは、孤独な個人を巨大な全体へと接続するための、音楽的なインターフェース(接点)である。

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「リフレインとは」音楽用語としての「リフレイン」の意味などを解説

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