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エレクトロニック・ドラム

Posted by Arsène

「エレクトロニック・ドラム」について、用語の意味などを解説

エレクトロニック・ドラム

electronic drums(英)

エレクトロニック・ドラムは、エレクトロニクス化されたドラム・システムの総称。1980年にシモンズ社より発表されたSDS-5が最初のモデルである。

エレクトロニック・ドラムの奏法は、アコースティック・ドラムと変わりはないが、楽器からの跳ね返り感が異なるため、若干演奏の感覚は異なる。

ドラム

エレクトロニック・ドラムの定義と音響物理における発音機構の変容

エレクトロニック・ドラム(電子ドラム)は、ゴムやメッシュなどの素材で構成されたパッドをスティックで打撃し、その物理的な振動を内部のセンサーで電気信号へと変換し、音源モジュールを介して任意の音声信号を出力する打楽器システムである。アコースティック・ドラムがヘッドの振動をシェル(胴)の内部で空気共鳴させ、空間に直接音響エネルギーを放射するのに対し、発音部と消音部が物理的に分離している点に構造的な特徴がある。

音響物理的な観点からは、打撃の強弱(ベロシティ)を電気的な数値データとして捉え、あらかじめサンプリングされた波形や合成されたシンセサイズ音をトリガーする仕組みである。アコースティック特有のシェルの不規則な共鳴や部屋の反響といった不確定要素を排除し、打音の初期過渡応答(アタック)や減衰特性(サステイン)を数値的に完全管理できるため、均一でクリアな打撃音を創出する上で重要である。

西洋打楽器史における音色の拡張と打音統御の系譜

多様な音色を求め、打撃による表現力を極限まで拡張しようとする思想は、西洋古典音楽から近現代音楽にいたる打楽器の変遷において深く追求されてきた。オーケストラにおける打楽器は、単にリズムを刻むだけでなく、管弦楽全体の音響テクスチャーに色彩を与え、劇的な効果をもたらす楽器として発展してきた歴史がある。

19世紀のベルリオーズやリストによる管弦楽法の発展に始まり、20世紀のイゴール・ストラヴィンスキーやエドガー・ヴァレーズにいたると、打楽器は完全に独立した音響の主役として扱われるようになった。ヴァレーズの「イオニザシオン」に代表されるように、サイレンやタムタム、多種多様なパーカッションを用いて楽音と雑音の境界線を揺るがす試みは、のちの電子音響音楽やエレクトロニック・ドラムが持つ「あらゆる音響を打撃によって呼び出す」という思想の先駆である。さらに、カールハインツ・シュトックハウゼンらの現代音楽におけるライブ・エレクトロニクス実践では、アコースティックな打楽器の音をマイクで拾い、リアルタイムで電子変調を加える試みが行われた。こうしたアコースティックの限界を超える音色探求の系譜が、1台のシステムであらゆる打楽器音や人工音を網羅するエレクトロニック・ドラムの技術的・美学的土壌となっている。

現代アンサンブルにおけるリズム制御とデジタル音響空間の構築

20世紀後半から現代のポピュラー音楽や電子音楽において、エレクトロニック・ドラムはスタジオワークやライブパフォーマンスのあり方を大きく変貌させた。生ドラムに比べて音量のコントロールが容易であり、周囲への遮音性に優れているため、自宅での高度な演奏技巧の修練や、限られたスペースでの音響構築においてその価値を発揮する。

デジタルレコーディング(DAW)の環境下においては、演奏情報がMIDIデータとしてリアルタイムに記録されるため、後からの音色変更やタイミングの微修正が極めてスムーズに行える。ミキシングの現場では、アコースティック録音で問題となる各マイクへの音のかぶり(ブリード)が一切発生しないため、キック、スネア、ハイハットの周波数帯域や位相を完全に独立して処理できる。コンプレッサーやイコライザーを用いた緻密なサウンドデザインを破綻なく実行し、アンサンブルの底をタイトに引き締める上で、電子ドラムが提供する純度の高い音声信号の制御は重要である。

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「エレクトロニック・ドラムとは」音楽用語としての「エレクトロニック・ドラム」の意味などを解説

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