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音楽用語集 音楽用語辞典

シタール

Posted by Arsène

「シタール」について、用語の意味などを解説

シタール

सितार(ヒンディー)(英:sitar)

シタールとは、北インドの伝統楽器でありリュート属の撥弦楽器である。共鳴胴はユウガオの実か瓢箪でできており、棹の上部にも小さめの共鳴器がついている。主弦と共鳴弦があり、共鳴弦は直接弾かずに主弦の音に共鳴させる。振動した弦の一部が駒に触れると独特の音が出る。右手の指先に金属製の爪(針金)で弦を弾きはじいて演奏する。スィタール。

シタールの構造的定義と共鳴弦による倍音構造の音響学的特質

シタールは、北インド古典音楽の伝統を受け継ぐ多弦撥弦楽器であり、独自の物理的構造に基づく豊かな音響システムを有している。物理音響学的な観点からは、乾燥した瓢箪(トゥンバ)を用いた共鳴胴、大きく湾曲した調整可能な金属フレット、そして主弦の深層に張られた多数の共鳴弦(タラブ)が、極めて複雑な相互共鳴を引き起こすシステムといえる。特に平らな骨で作られたブリッジ(ジャワリ)の特殊な形状により、振動する弦がブリッジの表面と微細な接触を繰り返す。これにより、持続的なバズ音を伴うきわめて豊かな高次倍音スペクトルが生成され、空間に対して深いドローン効果と神秘的なテクスチュアを定位させる音響的特質を持つ。

音楽史における東西融合と現代音楽・ポピュラー音楽への構造的影響

音楽史および楽理において、シタールはアジアの伝統音楽の枠を超え、20世紀後半以降の現代音楽やポピュラー音楽の創作に強烈な影響を与えてきた。西洋音楽が構築してきた平均律や機能和声に対し、ラーガと呼ばれる旋律旋法とタラと呼ばれる時間周期を基本とするシタールの内的論理は、クラシック現代音楽の作曲家たちに新たな音響的・時間的秩序を提示した。さらに、サイケデリック・ロックや現代のジャズ、電子音響音楽にいたるまで、その鋭いアタック音と空間を埋め尽くす持続音は、楽曲構造に精神的な深みと異国的な緊張感をもたらす重要な構造的基盤として応用されている。

演奏実践における微分音の制御と身体的アプローチ

アコースティックな演奏実践において、シタールの持つ微分音や特有のニュアンスを具現化することは、指先の極微細な運動制御と高度な相互知覚を要求する。

ミンドによる持続的音高変化の微制御

奏者はフレットの上で弦を横方向に強く引っ張るミンド(チョーキング)という技法を用いる。これにより、1つのフレットから滑らかにピッチを上昇させ、微分音(シュルティ)の微制御を可能にする。このポートメントに似た滑空音を精密にコントロールすることが、旋律の情緒を表現する上で重要である。

金属爪によるアタックとダイナミクスの統御

右手の示指に装着した金属製の爪(ミズラーブ)による打弦は、鋭い初期トランジェント(発音の立ち上がり)を生み出す。奏者は弦を叩く角度や圧力をミリ秒単位で微調整し、主旋律とドローン、共鳴弦の音量バランスを最適化する。この身体的アプローチが楽器全体のポテンシャルを引き出すために必要である。

異種アンサンブルにおける周波数管理と三次元音響空間の合成

西洋のクラシック管弦楽や現代の電子楽器とシタールを混在させるアンサンブルにおいては、その特有の共鳴ノイズや高周波成分が、他の繊細な旋律楽器(ヴァイオリンの摩擦音やフルートの息の音など)と干渉し、周波数マスキングを引き起こすリスクがある。そのため、各楽器の周波数帯域を空間的に適切に配分する音響管理が重要である。過剰な音圧に依存することなく、各楽器の指向性とホールの自然な残響空間を考慮しながら、シタールの放つ点描的なアタック音と豊かな残響を立体的に定位させる。これにより、異質な音響特性が完璧に融和した洗練されたアコースティックな三次元音響空間が合成される。

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