ギター・シンセサイザー
「ギター・シンセサイザー」について、用語の意味などを解説

guitar synthesizer(英)
ギター・シンセサイザーとは、ギターを使ったシンセサイザーの事。ギターの出力を周波数→電圧変換するものから、MIDI信号を発生するものまで色々なタイプがある。ギターの音そのものを加工するわけではないため、ギター・シンセサイザーの奏法には特殊な工夫が必要となる。
広義のギター・シンセサイザーは、信号処理技術によりギターでシンセサイザーと同じような音色を出す楽器や装置全般を指す。ギターシンセサイザーを実現するためのエレクトリックギター用のエフェクターなども存在する。
弦の振動を解析し新たな音色を生成するギター・シンセサイザーの定義
ギター・シンセサイザー(Guitar Synthesizer)は、ギターの弦の物理的な振動(ピッチや音量の変化)を専用のピックアップで検出し、その情報を元に内蔵または外部のシンセサイザー音源をトリガーする電子楽器システムである。各弦の振動を独立して拾う「ディバイデッド(ヘキサフォニック)・ピックアップ」を用いることで、鍵盤の代わりにギターの指板上で和音や旋律をコントロールする。これにより、ギタリストはチョーキングやビブラートといった弦楽器特有のアーティキュレーションを保ったまま、管楽器やストリングス、あるいは重厚なシンセ・リードの音色を演奏することが可能となる。
ジャズ・フュージョンにおける歴史的役割と表現の拡張
歴史的に見ると、ギター・シンセサイザーは1970年代後半にRoland社などが実用化し、パット・メセニーやアラン・ホールズワースといったジャズ・フュージョン、あるいはプログレッシブ・ロックの先駆的なギタリストたちによって重用されてきた。彼らはギター本来の物理的な減衰音(サスティーンの短さ)という制約から解放され、鍵盤楽器奏者と同等に分厚い和声や無限の持続音を得るためにこのシステムを導入した。初期の機材はピッチ検出に時間差(レイテンシー)が生じるという技術的な課題を抱えていたが、その遅延を逆手にとった独特のプレイスタイルが確立され、新たな音楽表現の領域を切り開いた。
現代のDAW環境における高精度なMIDI入力デバイスとしての進化
現代のデジタル音楽制作(DTM)やDAWの環境において、ギター・シンセサイザーのシステムは極めて精度の高いMIDI入力デバイスへと進化を遂げている。デジタル技術の向上によりレイテンシーは極小化され、鍵盤の演奏に不慣れなギタリストであっても、手慣れたギターを用いて精緻なドラムの打ち込みや、ピアノ、オーケストラ音源のシーケンスを直感的に行うことができる。DAW上では、ピッチベンド(チョーキングの揺らぎ)やベロシティ(ピッキングの強弱)がリアルタイムなコントロール・チェンジ情報として記録されるため、マウスでのステップ入力では得られない、オーガニックで人間的な揺らぎを持ったMIDIデータを構築することが可能である。
生音と合成音の帯域の衝突を回避するミキシングの設計
アレンジやミキシングの工程において、ギター・シンセサイザーの音を重層的なトラックに馴染ませるためには、通常のギター録音とは異なる周波数管理が求められる。多くの場合、ギター本来の生音(マグネティック・ピックアップの音)とシンセサイザーの合成音を並行して出力・ブレンドするため、中音域(500Hz〜2kHz付近)において激しい帯域の衝突(マスキング)が発生しやすい。EQ(イコライザー)を用いてシンセパッド側の不要な低域をカットしつつ、生ギターの鋭いアタック成分(トランジェント)を際立たせるなど、二つの異なる発音体のダイナミクスを緻密に分離・整理することが、洗練されたクリアな音像を完成させるために大きな意味を持っている。
「ギター・シンセサイザーとは」音楽用語としての「ギター・シンセサイザー」の意味などを解説
Published:2026/04/19 updated:
