ビス
「ビス」について、用語の意味などを解説

bis(ラテン)
ビスとは、短い小節の反復に用いられる記号。
ビス(bis)の定義と楽譜における指示
「ビス(bis)」は、ラテン語で「2回」または「再び」を意味する音楽用語である。楽譜においては、特定の小節やフレーズを「2回繰り返して演奏する」ことを指示する反復記号として用いられる。通常は、繰り返しを行いたい該当区間の上部に括弧や点線とともに「bis」と明記され、演奏者はその部分を一度演奏した直後に、もう一度最初から繰り返す。リピート記号(||: :||)を使用するほどではない短いフレーズや、歌曲において特定の歌詞の一節を重ねて強調したい場合などに、視覚的に簡潔に指示できる利便性を持っている。
コンサートにおけるアンコールの意味としての歴史と文化
楽譜上の構造的な指示にとどまらず、ビスはクラシック音楽のコンサートやオペラの上演において、卓越した演奏に対して「アンコール」を求める聴衆の掛け声、あるいはアンコール曲そのものを指す言葉としても深く定着している。英語圏では「アンコール(Encore)」が使われるが、フランス、イタリア、ドイツ、ロシアなどのヨーロッパの多くの地域では、演奏終了後に観客が舞台に向かって「ビス!(Bis!)」と叫ぶのが一般的である。これは「今の素晴らしい演奏をもう一度聴かせてほしい」という熱烈な称賛と敬意を表す最高の美辞であり、19世紀のロマン派時代から続く伝統的な劇場文化の一片を担っている。
現代のパフォーマンスや音楽制作における反復の精神
現代のライブパフォーマンスやステージ演出、演劇の劇伴(BGM)の現場においても、ビスの持つ「反復」や「再演」の概念は形を変えて応用されている。コンサートのセットリストにおいて、本編の盛り上がりが最高潮に達したセクションを一種の「ビス」としてアンコール時に再演する演出や、即興演奏(ジャムセッション)の場で特定のキメのフレーズを繰り返す合図として機能することがある。また、現代のDTM(デスクトップミュージック)やダンスミュージックにおけるループ(Loop)処理も、楽曲の推進力や高揚感を生み出すという意味でビスの構造的本質と通じるものがある。時代や媒体が変わっても、心地よいフレーズをもう一度繰り返して聴き手と興奮を共有するアプローチは、音楽における不変のダイナミズムとして生き続けている。
「ビスとは」音楽用語としての「ビス」の意味などを解説
Published:2026/04/25 updated:
