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表現主義

Posted by Arsène

「表現主義」について、用語の意味などを解説

表現主義

Expressionismus(独)

表現主義とは、20世紀初頭、絵画における表現主義の影響下に、シェーンベルク達が採った自己の内面の表出を第一に考える音楽の傾向。

表現主義の定義と歴史的背景

20世紀初頭のドイツやオーストリアを中心に、美術や文学などの動向と連動して巻き起こった芸術運動である。音楽における表現主義は、後期ロマン派が推し進めた主観的な感情表現を極限まで尖鋭化させ、人間の内面深くに潜む不安、恐怖、孤独、あるいは潜在意識の狂気といったドラスティックな精神状態を生々しく表出させることを目指した。従来の美的な調和や伝統的な形式をあえて拒否し、客観的な世界の描写ではなく、主観的な精神のリアリティを追求した点に本質がある。第一次世界大戦へと向かう時代の閉塞感や精神的危機と密接に結びついた、音楽史における重要な転換点である。

無調音楽への到達と新ウィーン楽派の試み

表現主義音楽を決定づけた最大の要素は、伝統的な和声や調性の枠組みを打破した無調(アトナール)への到達である。アルノルト・シェーンベルクをはじめ、その門下であるアルバン・ベルクやアントン・ウェーベルンら「新ウィーン楽派」の作曲家たちは、協和音と不協和音の境界を取り払い、激しい不協和音の連続や不規則なリズム、跳躍の多い旋律を駆使した。シェーンベルクの『月に憑かれたピエロ』では、話し声と歌声の中間的な発声法である「シュプレヒシュティンメ」が導入され、世紀末の退廃的な心理を劇的に描き出した。また、ベルクのオペラ『ヴォツェック』では、社会の歪みの中で精神を病んでいく人間の悲劇が表現主義的な音響によって克明に表現されている。

現代音楽への影響と映像メディアへの発展

20世紀前半に確立された表現主義のアプローチは、その後の前衛的な現代音楽のみならず、現代のポピュラーな視覚メディア音楽の基盤としても深く息づいている。伝統的な美意識に縛られない自由な音の構成法や、音塊(トーンクラスター)を用いた抽象的な響きは、人間の心理的な圧迫感や狂気を表現するための普遍的な手法となった。特に映画音楽やゲーム音楽の分野においては、ホラー、サスペンス、サイコスリラーといったジャンルの劇伴において、登場人物の錯乱や未知の恐怖を聴覚的に演出する際に重要な役割を果たしている。人間の深層心理と音響を直結させる表現主義の精神は、現代のデジタルサウンドクリエイションの現場でも不可避の技法として進化を続けている。

「表現主義とは」音楽用語としての「表現主義」の意味などを解説

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