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12弦ギター

Posted by Arsène

「12弦ギター」について、用語の意味などを解説

12弦ギター

twelve strings guitar(英)

12弦ギターとは、ギターの6本の弦にそれぞれ1本増やし、計12本の弦を張ったアコースティック・ギターやエレクトリック・ギターの事。チューニングは奇数弦と2、4弦が6弦ギターと同じ、6、8、10、12弦は6弦ギターよりも1オクターヴ高くなっている。

12弦ギターの定義と物理音響学における複弦の共鳴原理

12弦ギターは、通常の6本のストリングスをそれぞれ2本一組の複弦(コース)とし、計12本の弦を配置した弦楽器である。一般に1弦と2弦のペアは同一の音高(ユニゾン)、3弦から6弦のペアはオクターブ違いの音程で調弦される。物理音響学的な観点からは、これらの複弦を同時に撥弦した際、指先の触れ方や弦の個体差によって生じる微小な周波数のズレが「うなり(ビート)」を生み出し、特有の厚みを持った自然なコーラス効果を創出する。これは、クラシック音楽における19世紀以降のグランドピアノが、高音域において3本の複弦を同一ハンマーで叩くことで豊かな倍音と持続音を得る音響設計と本質的に共通している。単一の弦では到達し得ない高次倍音の共鳴と、空間全体に拡散する豊かな残響特性を獲得する上で、この複弦構造は極めて合理的である。

ルネサンス・バロック期の複弦楽器の系譜と歴史的連続性

器楽の歴史において、複弦による調弦システムは近代特有の発明ではなく、ルネサンスからバロック期にいたる古典音楽の時代において既に中心的な役割を果たしていた。16世紀のスペインで栄えたヴィウエラや、ヨーロッパ全土で重用されたリュート、そして17世紀のバロックギターは、いずれも複弦構造を基本として設計されている。当時の作曲家や奏者たちは、開放弦がもたらす豊かな共鳴を計算に組み込み、ポリフォニー(多声音楽)の複雑な旋律線を明瞭に浮き上がらせ、通奏低音の和声を立体的に支えていた。現代の12弦ギターが発する独特のサウンドは、こうした古楽の時代から続く「倍音によって音響空間を飽和させ、テクスチャーに色彩を与える」という伝統的な楽器法および美学の正当な系譜上に位置づけられる。

現代ポピュラー音楽における音響空間の構築とサウンドデザイン

20世紀半ば以降、12弦ギターはアコースティックおよびエレクトリックの領域で独自の音響ジャンルを確立した。特に1960年代のフォークロックにおける象徴的なアルペジオや、ロックにおける多層的なアレンジメントにおいて、アンサンブルに輝きを与える存在として重用された。現代のデジタルレコーディングやミキシングの現場においては、この楽器の持つ広大な周波数帯域と強い高域エネルギーが他の旋律楽器やボーカルと衝突しないよう、ダイナミックイコライザーによる的確な帯域制御や、ステレオ空間への精密なパンニング配置が実行される。これは音響全体の透明度を維持しながら、アンサンブルの密度を高める上で重要である。

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