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平均律

Posted by Arsène

「平均律」について、用語の意味などを解説

平均律

equal temperament(英)

平均律とは、近似的な音程を平均して実用的に簡便なものとした音律。

等分平均律

オクターヴを等分割して割り出すもの。12等分平均律など。

不等分平均律

同盟の音程でも広さの違うものが混在するもの。ミーン・トーン(中全音律)など。

平均律の定義と数学的・音響物理的原理

平均律(一般に12平均律)とは、1オクターブ(周波数比 $1:2$)の音程範囲を対数的に12等分した音律である。物理音響学および数学的には、隣り合う半音の周波数比が常に $2^{1/12}$(約1.059463)という等比数列によって規定される。ピタゴラス音律や純正律などの古典的な音律において生じていた、特定の音程間に蓄積される周波数の歪み(ピタゴラスのコンマなど)を、すべての半音に一律に分散・吸収させることで解消した音響システムである。

歴史的展開と異名同音の統合

平均律の導入は、西洋音楽における調性の可能性を拡大する上で決定的な影響を及ぼした。

古典的音律の限界とミーントーンからの脱却

ルネサンス期からバロック期にかけて多用された中全音律(ミーントーン)などの音律では、特定の主要三和音は極めて純粋に協和するものの、調号の多い調に移行すると「ウルフの五度」と呼ばれる激しい不協和(うなり)が発生し、実質的に演奏が不可能であった。そのため、作曲家が使用できる調は厳しく制限されていた。

『平均律クラヴィーア曲集』と調性の解放

18世紀初頭、ヨハン・セバスティアン・バッハは、すべての調での演奏が可能な新しい音律の可能性を示した『平均律クラヴィーア曲集』を著した。これが後の厳格な12平均律への移行を促す強力な契機となった。平均律の確立により、「嬰ハ長調」と「変ニ長調」といった異名同音が物理的に全く同じ音高として統合され、五度圏を完全に循環する自由な転調構造が完成した。

現代の楽器設計およびデジタル音響における実用的効果

現代において、平均律は世界の音楽システムの標準的な基盤として機能している。ピアノなどの鍵盤楽器や、ギターやベースといったフレット楽器の設計は、この12平均律の周波数比に基づいて構造やフレットの配置が決定されている。

デジタルシンセサイザーとDTMでの標準化

現代のデジタルオーディオワークステーション(DAW)や各種シンセサイザーのデフォルトの調律(チューニング)も平均律が前提となっている。これにより、異なるメーカーの電子楽器やサンプラーを同時に駆動させても、音高のズレを生じさせることなく正確に同期したアンサンブルを組織できる。

和声的純粋性とのトレードオフ

音響的な特徴として、平均律はすべての調を均等に扱える利便性を持つ一方で、純正律のような完全にうなりのない美しい協和音(特に長三度音程など)を出力することは構造上不可能である。しかし、自由な旋律進行や劇的な転調、あるいは多様な楽器が混在する現代のオーケストレーションやポピュラー音楽の制作において、その合理性と汎用性は極めて高い価値を持っている。

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