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ミュート奏法

Posted by Arsène

「ミュート奏法」について、用語の意味などを解説

ミュート奏法

mute(英)

ミュート奏法はギターなどの奏法で、右手(あるいは左手)で弦をミュート(半鳴りの状態)しながら弾く。

右手のミュート奏法

右手のミュート奏法は、特に低音弦に使うとロックン・ロールのリフなどで歯切れの良いサウンドが得られとても効果的である。

左手のミュート奏法

また、左手のミュート奏法のサウンドはブラッシング・トーンと呼ぶ。

「音を殺して生かす」逆説の美学:定義と概要

ミュート奏法(Muting Technique)とは、ギターベースなどの弦楽器において、振動している弦に手や指を意図的に接触させることで、音のサステイン(伸び)を抑制し、「半鳴り」の状態を作り出す演奏技法である。英語の「Mute(消音・弱音)」に由来するが、完全に音を消すのではなく、音色にパーカッシブなアタック感や、太くこもった独特の質感を付加するために用いられる。

楽器本来の豊かな響きをあえて制限することで、逆にリズムの輪郭を際立たせたり、アンサンブル内での帯域干渉を防いだりする効果がある。ロック、ファンク、メタル、ジャズなど、あらゆるジャンルにおいて、グルーヴを生み出すための最も基本的かつ重要なテクニックの一つである。

右手のミュート(ブリッジ・ミュート):重厚なるリフの源泉

右手の小指球(手のひらの側面)を、ボディ側のブリッジ付近の弦に軽く押し当てながらピッキングする手法であり、通称「ブリッジ・ミュート」または「パーム・ミュート」と呼ばれる。楽譜上では「P.M.」や「M」と表記される。

この奏法の最大の特徴は、倍音がカットされ、低音域が強調された「ズン・ズン」という重厚なサウンドが得られる点にある。特に、歪ませたエレクトリック・ギターとの相性は抜群であり、ハードロックやヘヴィメタルにおける「刻み(高速ダウンピッキング)」のリフは、この技術なしには成立しない。ミュートをかける位置や圧力の強弱をコントロールすることで、音の「詰まり具合」を自在に変化させ、楽曲にダイナミクスを与えることが可能である。

左手のミュート(カッティング):リズムの切れ味

左手の指を弦に軽く触れさせる(押弦はしない)ことで、実音を出さずに「チャッ」「ツク」という打楽器的なノイズ(ブラッシング・トーン)を出す手法である。これは主にファンクやR&Bにおける「カッティング(ストローク)」奏法で多用される。

コードを押さえる力加減を瞬時にコントロールし、実音(オン)とブラッシング音(オフ)を細かく切り替えることで、ドラムのハイハットのような鋭いリズムパターンを構築する。ジェームス・ブラウンのバンドのギタリスト(ジミー・ノーランなど)や、ナイル・ロジャースといった名手たちは、この左手のミュート技術を極限まで洗練させ、ギターを「和音が出る打楽器」へと進化させた。

余弦ミュート:静寂を操る隠れた技術

演奏において、ミュート奏法は「音を出す」ためだけでなく、「不要な音を出さない」ためにも不可欠である。これを「余弦ミュート」と呼ぶ。
特に大音量のアンプを使用するロックギターや、弦振動のエネルギーが大きいベースにおいては、弾いていない弦が共振して勝手に鳴り出してしまう現象(共鳴ノイズ)が発生しやすい。これを防ぐために、演奏者は常に使っていない指や手のひらを使って、鳴らすべきでない弦をミュートし続けている。

例えば、人差し指でコードのルート音を押さえつつ、その指先で上の弦を、指の腹で下の弦を触れてミュートするといった高度な処理が、無意識レベルで行われている。プロの演奏がクリアでタイトに聞こえるのは、この「聞こえないミュート」が完璧に行われているからであり、ミュート奏法とは「音を出す技術」であると同時に「静寂を作る技術」でもあると言える。

「ミュート奏法とは」音楽用語としての「ミュート奏法」の意味などを解説

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