セミ・ソリッド・ギター
「セミ・ソリッド・ギター」について、用語の意味などを解説

semisolid guitar(英)
セミ・ソリッド・ギターとは、ソリッド・ボディの一部に空洞を作り、独特の丸みのある音を出す様にしたギター。
セミソリッド・ギターの定義とセミアコースティックとの構造的差異
セミソリッド・ギターとは、元となる一枚の厚い無垢材(ソリッド・ウッド)の内部をくり抜き(チェンバー加工など)、その上にトップ材を貼り合わせることで意図的な空洞を設けたエレクトリック・ギターの構造を指す。ここで極めて重要なのは、セミアコースティック・ギターとの明確な構造的差異である。セミアコースティックが「薄い表板、裏板、側面板を曲げて箱状に組み立て、内部に木材(センターブロック)を配置する」というアコースティックギター由来の製法であるのに対し、セミソリッドはあくまで「単一の木の塊を削って空洞を作る」というソリッドギターの製法から派生している。音響物理的には、ソリッド特有の鋭い発音(アタック)と音の伸び(サスティーン)を主軸としつつ、くり抜かれた空間によって特定の周波数帯域に複雑な倍音と適度な空気感(エアー感)が付加される構造を持つ。
エレキギターの歴史における軽量化とチェンバード構造の確立
エレクトリック・ギターの歴史において、この構造は純粋な音響的探求というよりも、楽器の物理的な重量を軽減するという実用的な目的から大きく発展した。1960年代後半、フェンダー社が重量のあるアッシュ材やマホガニー材の負担を減らすため、ボディ内部を大きく削り取ってFホールを設けた「テレキャスター・シンライン」を発表したことがその代表例である。また、ギブソン社のレスポールのような重厚なギターにおいても、外見上は完全なソリッドギターでありながら、内部に複数の小さな空洞を設けるウェイトリリーフという手法が定着した。この物理的な木材の切削は、単なる減量にとどまらず、ソリッドの硬質な響きの中に中音域の独特な甘さやアコースティックな響きをもたらすという副次的な音響的恩恵を生み出した。
現代音楽・ポピュラー音楽における役割とサウンドデザイン
現代のネオソウルやインディー・ロックなどの領域では、ソリッドの芯の強さとホロウボディの温かみの中間に位置する絶妙なトーンとして重宝されている。デジタル制作やミックスの現場においては、セミアコースティックほど低音域が膨張せず、ハウリングのリスクも低いため、イコライザーによる緻密な帯域制御が容易であり、アンサンブルの中でクリアな空気感を演出するのに適している。
「セミ・ソリッド・ギターとは」音楽用語としての「セミ・ソリッド・ギター」の意味などを解説
Published:2026/04/20 updated:
