オーギュメント
「オーギュメント」について、用語の意味などを解説

augmented interval(英)
オーギュメントとは、2つの音の、高さの差を示す用語の一種で完全音程や長音程を半音広くした音程。音程は度数(ディグリー)という単位で示され、増○度などと使う。オーグメントとも。
オーギュメントの定義と音響物理的および和声的特徴
オーギュメント(増・拡大)は、音楽において主に二つの重要な概念を指す。一つは判定や和声学における増三和音(オーグメント・トライアド)であり、根音から長3度と増5度を積み重ねた和音である。音響物理的には、増5度は完全5度よりも半音高く、自然倍音列の秩序からわずかに逸脱するため、強い協和を持たない不協和な響きとなる。オクターブを長3度(半音4つ分)で3等分する対称的な構造を持つため、調性的な重心が曖昧になり、独特の浮遊感や緊張感を空間にもたらす特徴がある。
クラシック音楽における主題の拡大と対位法的役割
もう一つの概念は、対位法や楽曲分析における主題の拡大(オーグメンテーション)である。これは、提示された旋律や主題の音価を正確に2倍あるいはそれ以上に引き伸ばして再現する技法である。ヨハン・セバスティアン・バッハはフーガの展開部や終結部においてこの技法を多用し、楽曲の構造的密度を高め、壮大な劇的効果を生み出した。ロマン派の作曲家たちもソナタ形式の再現部などで主題を拡大し、音楽的な時間の流れを変化させることで、作品に重厚なクライマックスをもたらすための重要な手段として用いた。
演奏実践における和声の引力とテンポ感の制御
実際の演奏実践において、オーギュメントの概念は奏者に高度なコントロールを要求する。増三和音を奏でる際、増5度は次の協和音へ解決しようとする強い和声的引力を持つ。弦楽器奏者や声楽家は、平均律の機械的なピッチにとどまらず、解決先への指向性を明確にするために微細なイントネーションの調整を行うことが重要である。また、対位法において主題が拡大される局面では、音価が伸びることで旋律の推進力が失われやすいため、奏者は緻密なアーティキュレーションを維持し、全体のテンポ感を乱すことなく、他の声部との立体的なバランスを保つ身体的制御が必要となる。
近代音楽やジャズにおける和声拡張と応用
19世紀末から20世紀にかけて、オーギュメントは調性体系を拡張する上で重要な役割を果たした。クロード・ドビュッシーをはじめとする近代の作曲家たちは、全音のみで構成される全音音階(ホールトーン・スケール)と増三和音を組み合わせ、伝統的な機能和声の重力から解放された幻想的な色彩を創出した。さらに現代のジャズやアコースティックなアンサンブルにおいても、ドミナント和音のテンション(シャープ5th)として頻繁に組み込まれ、即興演奏において一時的な緊張を作り出し、物語性を豊かにするための洗練されたアプローチとして定着している。
「オーギュメントとは」音楽用語としての「オーギュメント」の意味などを解説
Published:2026/04/18 updated:
